• 2021年3月15日

豊田洋一教授 退任記念講義

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豊田洋一教授 退任記念講義

豊田洋一教授 退任記念講義 1024 683 愛知県で自然素材の家なら永井政光建築設計事務所

 3月6日(土)に、中部大学の豊田洋一教授の退任記念講義に出席しました。豊田先生は、私を中部大学建築学科の非常勤講師に誘って頂いた方で、大学4年時の卒業設計でお世話になった恩師でもあります。1年ほど前、非常勤講師の打ち合わせの時にお会いして以来で、お元気そうな姿を拝見できてとてもよかったです。この退任記念講義には豊田先生の教え子もたくさん出席していて、あらためて人望のある方だと思いました。講義の後は製図室での雑談タイムとなり、先生とお話ししたり、出席していた同級生とも色々話しができて楽しかったです。

 豊田先生との思い出で特に印象深かったことと言えば、かれこれ今から10年程前に「むくり屋根の家」の完成見学会を行った際、豊田先生がたくさんの生徒さんを引き連れて見学に来てくだったことです。そして帰り際、むくり屋根の家についてお褒めの言葉を頂きました。当時、大学を卒業して10年ぶりくらいに先生と再会でき、さらに勇気づけられるお言葉を頂いたことは本当に嬉しく、今でも鮮明に覚えています。

 今から振り返ると、中部大学とは不思議なご縁を頂いたなぁと思います。私は受験生時代に随分な高望みをしたのですが、願い叶わず、打ちひしがれるような気持ちで中部大学に入学しました。その後、最初に待っていたのは、短期留学のチャンスでした。中部大学とアメリカのオハイオ大学が姉妹校提携をしていて、大学2年の春から約4か月間の交換留学制度があるということを知りました。私の実家は家計が苦しかったので、自力でお金を貯めるぞと決意し、大学1年の時に大学にはちゃんと通いつつ、深夜のローソンでアルバイトを週5日くらいのペースで半年くらい続けて何とかお金を貯め、無事オハイオ大学への留学の切符を手にしました。そして、そのアメリカでの建築体験が、現在の建築家 永井政光の血となり肉となりました。まだ何色にも染まっていない若い時代に、珠玉のような近代建築をたくさん観れたこと、特にシカゴで巨匠フランク・ロイド・ライトの住宅をたくさん観、空間体験できたことは、建築家として生きる上で、本当に貴重な財産だと思っています。また、一人でも海外に行ける、という自信がついたことも、その後、自力で格安航空チケットを購入して様々な海外の建築を観に行く上でとても重要なことでした。大学時代は本当によく勉強し、よく働き、そして多くの仲間にも恵まれ、とても楽しく充実した日々をおくることができました。豊田先生との出会いのおかげで、後に非常勤講師もさせて頂き、今から思うと中部大学にご縁になってよかったのではないかと思っています。もしもあの時、希望の大学に入学していたとしたら、おそらく留学への道は無かったと思いますし、つくづく、人生とは不思議なものだなぁと思います。兎にも角にも、わらしべ長者のごとく、今手にしているものを大切に生きていこうと思います。