• 2019年8月22日

日本的なるもの

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日本的なるもの

日本的なるもの 1000 667 愛知県で自然素材の家なら永井政光建築設計事務所

美しい木造りの家

今日の一枚は、フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)の設計したスタジオ・アアルトです。

アアルトはフィンランドのみならず、世界的な巨匠の一人です。

デザイン的には、現代的(モダン)な感性を十分に持ち合わせつつも、素材
感や居心地のよさといったメンタルな面も大切にされた建築家です。

この建築は、アアルトが設計事務所として使用していた建築で、今でも設計
道具や図面、模型などが、当時と近いかたちで展示してされています。

北欧で寒いフィンランドという場所なので、少ない太陽光の熱をいかに室内
にとりこみ、逃がさないか、また、弱い光でもいかに明るく気持ちのいい空間
にするか、といったことにもよく配慮された建物でした。

学生時代は、正直言ってアアルトの良さをそこまで理解出来ていませんでし
た。どちらかといえば、デザイン的にも思想的にも明快で刺激的な、フランク
ロイド・ライトやル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、ルイス
・カーンに羨望のまなざしを向けていたのですが、今、実務で住宅などの設計
に携わっていますと、ある意味「より人間的」なアアルトの建築がより輝いて
みえます。

建築とは、絵画や彫刻などの他の芸術とは違い、ただ美しかったり、アーテ
ィストの理念をそのまま具現化すればいいのではなく、実際に生身の人間が使
用し、雨風などの自然を配慮し、地震に耐え、その土地ごとの法律にも合致さ
せ、建築費にも配慮し・・・など、様々な制約をクリヤしなければなりません。

それらをふまえた上でも、やはり最も重要なのは「生身の人間が使う」という
こということなのだと思います。その点において最も優れた建築家の一人がア
アルトだと思います。