階段はゆったりと
階段の設計で大切にしていることの一つは、一段一段の上る高さ(蹴上)を低めに設定していることです。建築基準法で最低限のルールは定められているのですが、その基準より4~5cm程低くすることによって、ゆったりとした上りやすい階段になります。何気ないことかもしれませんが、実際に上り比べて頂くとかなり違います。
日本では、特に昔の民家は階段に最小限の面積しか割かず、非常に急勾配のものが多かったですが、事故の元ですし、年をとってからは特に危険を伴います。それと対照的なのが、近代建築の巨匠の一人のフランク・ロイド・ライトが設計した住宅の階段です。一段一段がとてもゆったりしていて、上るのが楽なだけでなく、優雅な気持ちにさえしてくれます。そんな階段を体感したこともあり、ゆったりと上れる階段をおすすめしています。
彫り込んだササラ桁にがっちりはめ込む
階段の掛け方も色々ですが、簡易な工法でつくった階段は不安定で、素人でも上って感じるものです。永井政光建築設計事務所の設計した家の階段は、昔ながらの彫り込んだササラ桁にがっちり踏み板をはめ込む工法を採用しています。専門用語ばかりで分かりにくいかもしれませんが、ササラ桁とは、階段の段の両サイドにある斜めに配置されている板のことで、そのササラ桁の板を直接刻んで彫り込んで、無垢の階段の踏み板をはめ込んでクサビで固定するという、非常に頑丈なつくり方をしています。長年使っても安心です。