天然乾燥は珍しい
国産の木を使っている建築屋さんは時々みえますが、天然乾燥材を使っている建築屋さんはプロの目から見てもほとんど皆無です。その理由の一つに、自社で広い場所を確保する必要があることが挙げられます。いつも当事務所の家を手掛けて頂いている工務店さんは岐阜県の八百津という山の多い場所に工場を構えている工務店さんで、天然乾燥する場所を多く持っているからこそできることだと言えます。そして、丸太の状態で市場で木を購入し、自社で製材機を所有しているということも重要です。それができる工務店さんとの家づくりです。
天然乾燥材のメリット
世の中に流通している構造材のほぼ100%が人工乾燥材です。人工乾燥材の中にも高温乾燥材や中温乾燥材、低温乾燥材などがあり、用途などによって使い分けられています。人工乾燥材は天然乾燥材と違い、早く流通させられるので世の中のニーズに合っています。特別強度が落ちるわけでもなく、含水率もしっかり管理できることもあり、人工乾燥がかならずしも悪いというわけではありません。
天然乾燥材と人工乾燥材の主な違いは「香り」と「割れ方」です。香りに関しましては、特に杉のような乾燥しやすい樹種は顕著なのですが、天然乾燥された杉は杉本来のいい香りがするのですが、人工乾燥された杉は焦げたような、あまり心地よくない香りがします。割れ方に関しましては、天然乾燥材は芯からではなく表面から割れます。背割れをいれれば背割れ部以外からは割れは目立ちにくいですが、割れがどうしてもいやであれば、見えるところに天然乾燥材は使わない方が無難です。逆に、人工乾燥材は芯から割れます。ですので、表面は割れにくいです。ただ、本来は芯が強いことが強度的に大切なので、芯から割れるというのは構造材としては望ましいとはいいがたいと思います。