昔ながらの太い国産の木で
施主さまにとって、お引渡しまでにいくつかの大きな節目があります。その節目の中で最も大きく感動的な節目は建前だと思います。当事務所も監理者としていつも建前に立ち合わせて頂いているのですが、建前の光景を観た施主さまは、目の輝きが増しているように見受けられます。今まで図面というリアリティの薄いものと向き合ってきたのが、いよいよ目の前に実物として現れてきた、しかも期待通り、もしくは期待以上の美しくて大量の国産材で組まれている光景はプロが観ても迫力があり、一見の価値があります。大げさに聞こえるかもしれませんが、仕事を休んででも見る価値のあるイベントだといえます。
この感動は、建前だからというより、赤色や真っ白な集成材などの輸入材ではない木の肌の美しさや、一般的な構造より一回り以上太い木材、そして柱梁だけでなく小屋組みもガッチリ組まれた木の量や迫力による感動なのだと思います。
脂の乗った年代の大工さんたちと
伝統的な工務店との家づくりというと、一見するとおじいさん世代の大工さんばかり来るのではないかという不安を抱えている方もみえるのかもしれません。当事務所がお願いしている工務店の大工さんは、40代を中心とした、大工として経験を積んだ脂の乗った年代の方々です。皆さんとても手際がよく、流れるように建前が進んでいき、見ていてとても気持ちがいいです。大きな建築が寸分違わず組み上げられていく姿は、まさに壮観です。
例えば丸柱の手刻み
この写真は、外部に使う丸柱の端部の手刻み加工の様子です。全ての構造材を、このような手刻み加工の部材で組むことも可能です。加工している工場にいると、木材を加工する音が鳴り響くとともに、木のいい香りが広い空間に充満しています。
手刻み加工の得意な大工さんと
現在の日本にも、実は昔ながらの手刻み加工の得意な大工さんはいます。特に岐阜県にはいい大工さんが多いことで有名で、当事務所と一緒にやっている大工さんはとても腕のいい手刻み加工の得意な大工さんです。鑿(のみ)や鉋(かんな)、墨壺(すみつぼ)や指金(さしがね)といった昔ながらの大工道具を駆使して、精魂こめて腕をふるいます。